男女間の賃金格差の是正、人種間の平等、障がい者の就労支援などは、「ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン」(DE&I)における一般的な成果ですが、これらは、DE&Iのうち1つめと2つめのテーマにしか当てはまりません。しかし、インクルージョンについてはどうなのでしょうか。安全で、協力的で、献身的なチーム作りについて、専門家たちが深く率直に語ります。

グローバル企業は、ダイバーシティがインクルージョンを意味するわけではないことに気がついています(例:Cornerstone, Pepsico, Sanofi, Morgan Philips, Lenovo, and Schneider Electric)。McKinseyとGlassdoorのレポートがこの前提を裏付けています。 52%の従業員が職場の多様性を肯定的に捉えているのに対し、インクルージョンについては29%のみなのです。


想像してみてください。会社の全員が多文化な従業員の一員であることを誇りに思っているのに、彼らの半分しか成長していません。他の社員は組織の中に閉じこもり、自分の存在感を消しています。彼らの意見、洞察力、創造的なアイデアは聞き入れられずに終わってしまうのです。ではどうすれば誰もが本当の意味でのビロンギングを持つようになるのでしょうか。それは私たちにとって重要なことなのでしょうか。ビロンギングは企業文化や業績にどのような影響を与えるのでしょうか。そもそも「ビロンギング」とは何なのでしょうか。

ビロンギングとはどのようなものか

Sanofi社の Global Programs DirectorであるCayte Chmolia氏は、まずビロンギングについて振り返ります。彼女は、ビロンギングとは、「本当の自分、完全な自分を職場に持ち込む(あるいはいる)ことで、有意義な形で貢献すること」と述べています。

その代わり、その人は全員の心理的安全性に配慮しなければなりません。「助けやフィードバックを気軽に求めることができなければ、本当のビロンギングを感じることはできないと思います」と彼女は付け加えます。

Teleperformance社のL&D Executive Vice PresidentであるPuja Bhatia氏は、ビロンギングを感じている人は 「変化を起こすことができるだろうし、変化を起こす自由があると感じている」としています。また、彼らは、「失敗して、その失敗から学ぶ自由が与えられている人」だと、彼女は付け加えます。

 

先入観を取り除く

簡単なことのように聞こえますが、このコンセプトはほとんど常識外れです。Morgan Philips社のManaging Director、Elyas Bozan氏は、この問題の核心を明らかにしています。Bozan氏によれば、完璧を求める姿勢と、謙虚なリーダーシップの欠如が、問題を引き起こしているとのことです。このような態度は、無意識のうちに偏見を生み、それが許容される言動を作り上げてしまいます。

語学力の向上は、バリアを克服するための知的なスタートです。しかし、マインドセットの転換は、態度や行動の変化を持続させます。Cornerstone社のArea Vice PresidentであるStephane Amiot氏は、このことを自身の経験で証明してくれました。Amiot氏は、フランスに駐在していた頃、英語が母国語でなかった自分を振り返り、対話の中でニュアンスのある表現を使い分けることの苦労について話しました。それなしには、透明性、信頼性、能力などが問われてしまいます。

「どんな人でも、語学のせいで、他の人より頭が悪いと感じることがあってはいけません」

 

インクルージョンがもたらす効果

Lenovo社の中央アジア太平洋地域を担当するHR DirectorであるBella Chan氏は、「(ダイバーシティとインクルージョンの)両方があれば、勝てます」と断言します。「インクルージョンとは、多様性を活用してイノベーションを起こすための実際の行動のことです」また、「ダイバーシティはパーティに招待されるようなもの。インクルージョン(ビロンギング)があれば、パーティーで踊れるようになります」 という素晴らしい比喩を残しました。

多様性のある企業における真のインクルージョンの証は、イノベーションです。そして、イノベーションを起こす鍵は、そのDE&Iのアジェンダに「語学」を置き、優先的に取り組むことです。なぜでしょうか?PepsiCo Brazil社のTalent Director、Thaisa Thomazは、PepsiCo社のDE&Iの取り組みの一つを例として紹介しました。

「Voice your Opinion Fearlessly(堂々と声を上げよう) 」運動は、PepFluent(別名:コーポレート・ランゲージ・アカデミー)を通じて全従業員を巻き込むものです。 このプログラムは、従業員の自信と語学力を向上させることを目的としています。その結果、チームはクリティカルシンキングや創造的な問題解決にさらに力を注ぐようになりました。

イノベーションもさることながら、語学力は企業の収益にさまざまな形で影響を及ぼします。

 

まとめ

結論として、インクルージョンの実現には、言語の偏りやコミュニケーションの障壁を克服することが重要です。

才能ある人々が成長し、イノベーションをもたらす安全な環境を作り出すからです。また、時間の節約とコスト削減にもなるため、ビロンギングの高さは収益性の高い戦略であると考えなければなりません。

goFLUENTのDirector-General ManagerであるEsther Herediaの造語で、「Communication is a heart skill(コミュニケーションは思いやるスキルである)」という言葉があります。DE&Iのような大きな事業であっても、外への変革は内から始まるということを深く認識させられます。

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終わりに:考察

さて、これらすべてを学んだところで、あなた個人はどのようにこれを応用するべきでしょうか?私たちは皆、DE&Iリーダーになるよう求められています。

しかし、もしあなたが同僚から切り離されていると感じたり、会社の目標から切り離されていると感じたら、勇気を出して自分自身の偏見や障壁を乗り越えてください。以下は、内省のための質問です。

思い込みについて

  • 私自身が持っていて、捨て去るべき言語的・文化的な偏見は何か?
  • 私自身の行動を制限し、心を開いたコミュニケーションに影を落としている思い込みは何か?

感情に関して

  • 失敗を恐れたり、同僚から批判されたりしたとき、どうすれば自己肯定感を高めることができるのか?

態度(スキル)について

  • あなたの英語力(または、あなたの会社が指定する仕事での言語)を正直に言うと、どのように評価しますか?
  • あなたはどのようなコミュニケーションレベルを望んでいますか?またそれは何故ですか?

最後に、上司や人事部の研修担当者に、語学やコミュニケーションに関する研修プログラムがあるかどうかを聞いてみましょう。もしない場合は、この記事を担当者に共有し、ご自身の成長意欲を伝えてください。