Visa社、Autodesk社、Mars社、Sanofi社といった大企業の人材開発において、デジタルラーニングがどのように重要な役割を果たしているのか、Josh Bersinが現状と未来について議論を展開します。

パンデミックが続く中、デジタルラーニングは、確実にほとんどの組織にとって新しい学習スタイルとなっています。誰もがリモートで仕事をしたり、オンラインで研修をする必要があります。そのため、研修リーダーは、将来におけるデジタルラーニングの役割について議論しておくのが得策です。

Digital Learning is the New Reality: A Roadmap for Global Learning, HR, and Talent Leaders(新しい現実としてのデジタルラーニング;グローバルラーニング、人事、人材開発のためのロードマップ 」と題したウェビナーでは、人事業界のエキスパートであるJosh Bersin氏がモデレーターを務め、Visa社、Autodesk社、Mars社、Sanofi社といったグローバル企業のラーニングエキスパートが、どのように研修や開発の戦略を変えてきたか、また今後の展開についての見解を述べました。

今回の座談会に参加してくださったパネリストの方々は、以下の通りです。

デジタルラーニング・ウェビナーで得られた4つのポイントを以下にご紹介します。

デジタルラーニングにより、大規模な研修の展開やアップスキルが容易に

デジタル技術が加速している今、業界はエキサイティングな時代となった ー Josh Bersinをはじめとする登壇者は、ウェビナーの間ずっとこの言葉を繰り返していました。

Sanofi社のChristine Vaccola氏にとって、デジタルラーニングは組織のロードマップの重要な側面です。 約10万人の従業員が研修に関わっているため、デジタルラーニングは大規模な学習を管理する方法なのです。パンデミック以前は、Sanofi社の研修の80%は対面で行われていました。しかし、Vaccola氏は、そのような過去に戻ることはないと考えています。デジタルラーニングを利用することで、より多くの学習者にリーチできるようになったのです。

さらに、デジタルラーニングでは、多くのコンテンツを多くの学習者に迅速に提供することができるとBersin氏は語ります。しかし欠点は、それがビジネスにおいて「インパクトをもたらしているか」に確信が持てないことだそうです。だからこそ、コンテンツが正しい方向に向かっているかどうかを確認するために、組織で必要とされる方針・行動・知識・スキルを定義し、構築すること(ケイパビリティ・フレームワーク)の重要性を主張しました。

また、デジタルラーニング機能を持つことで、よりスピーディーな研修が可能になり、指導方法の柔軟性と多様性が増します。実際にAutodesk社では、バーチャルリアリティ(VR)を使ったシミュレーション、デジタルラーニングを使ったコーチングサポート、バーチャルクラスルームなどの実験を行い、学習者や研修担当者など全体に効果を発揮しています。

かつてない程に必要とされるソフトスキル

Mars社のNuno Goncalvesは、「迅速であることが重要であり、目的に合ったものでなければならない」と述べています。Bersin氏もこれに同意し、「今日の人材開発における課題は、技術的なスキルの問題だけではなく、ビジネスプロフェッショナルが優れたマネージャーや効果的なリーダーになるためのソフトスキルの問題でもある」と述べています。 これまで企業は、これらのスキルは対面式で学べばよいと考えていました。しかし、デジタルは学習リーダーのこの視点を変えたのです。

Vaccolaは、Sanofi社では、よりターゲットを絞ったアプローチをとっており、彼女が 「トランスバーサルスキル 」と呼ぶものに焦点を当てていると述べました。トランスバーサルスキルとは、特定の仕事やタスク、知識の分野とはあまり関係がなく、さまざまな状況や仕事の場で使えるスキルのことです(例:組織力)。

実際、現在最も求められているソフトスキルやパワースキル(これも横断的なスキルです)には、次のようなものがあります。

さらにBersin氏は、若い世代が行動力や言語力、コミュニケーションに関心を持つようになったことで、将来、より有能な社員やリーダーに育ちやすくなると述べています。

デジタル研修・人材開発に必須の、ゲーミフィケーションとバッジング

Karie Willyerd氏によると、バッジはVisaでの従業員の資格において重要な要素となっています。彼らの組織では、学習者が取得できるバッジを約100種類用意しています。その仕組みは、例えば、「レベルアップ」するためには、一定のポイント(例えば100万ポイント)を貯める必要があるというものです。例えば、「セールスバッジ」を取得するには、セールスに関するすべての研修コースを修了する必要があります。

興味深いことに、バッジを使って従業員を人材市場につなげることもできます。学習者が特定のバッジを持っていれば、LXPは学習者が既に持っているバッジのセットに基づいて、スキルや知識に合うかもしれない様々な仕事やプロジェクトの機会を学習者に知らせることができるのです。

ここで重要なのは、従業員バッジシステムを利用して、学習者がプロフェッショナルとして成長し、これらの追加された資格によって組織内でのキャリアを高めることです。

新しいスタイルとしてのデジタルラーニング、戦略的に行われる対面式研修

Bersin氏は、座談会の冒頭で、今日の組織や企業の課題は、対面式の研修をオンライン・ラーニングで完全に置き換えることではないと述べました。今日、大多数の組織ではデジタルラーニングが新しいスタイルとなっていますが、従来の対面式のラーニングも依然として存在しています。

Autodesk社では、アクセス性と柔軟性に優れたデジタルラーニングを今後も拡大していく予定です。デジタルラーニングでは、対面式の学習に比べ、従業員にとって研修がより近いものになります。社内では、デジタルラーニングに参加した人たちから大きな反響がありました。移動時間や費用、時差などを考慮する必要がないため、デジタルラーニングの方が好まれたのです。しかし、担当者たちは、デジタルラーニング以外にも、対面学習を含めたブレンド型学習で実施しなければならないプログラムもあるだろうと考えています。

一方、Visa社とMars社は、社員がオフィスに戻りたがっていることを確認しており、彼らにはハイブリッド・ラーニング(例:自己学習、バーチャル・クラスルーム、対面学習、ブレンド型学習)を導入するのが最適だと考えています。Sanofi社の場合は、対面式研修も検討される一方、この方法への投資はより戦略的かつ慎重に行い、対象となる特定のスキルについて実施することになるでしょう。

最後に

要するに、デジタルラーニングが世界的に普及している一方で、対面式の研修は今後も存在し続けるということです。Sanofi社のVaccola氏は、「デジタルでの研修の使用を継続することが重要だ」と述べています。しかし、職場に戻ることを楽しみにしている人の中には、対面式の研修を好む人もいるので、対面式研修への投資を再検討し、いくつかの特定のスキルにのみ使用することが最善でしょう。