現在、世界中の人材開発(L&D)専門家にとっての最大の関心事は、学習者が学習に対するエンゲージメントです。オンライン学習を導入する組織が増えている現状を踏まえ、オンラインでのコミュニケーションに関して以下に挙げる4つの具体的な方法で、学習者のエンゲージメントを維持していきましょう。

2020年にLinkedInが行った調査によると、 従業員の学習に対するエンゲージメントを増大させることが最優先の課題であると考えているL&Dの専門家は36%に上ります。 また、世界中の組織の大半が今なお、このことを課題と捉えているのは、本当に驚きです。

世界の現状から、企業は「新常態」(ニューノーマル)への適応を強いられ、その結果ほとんどの組織が オンライン学習への移行を進めている事実を考えると、エンゲージメントを増大させることへの注目度はなおさら高まります。

だからこそ、学習者のエンゲージメントに注力することは、以前にも増して重要です。しかし、広がり続けているエンゲージメントの問題は、デジタルプラットフォームを活用するだけで本当に解決できるのでしょうか。

答えは イエスです。 学習者のエンゲージメントを増やすために、今すぐにでも実践できるベストプラクティスを以下にいくつか紹介します。

ソーシャルメディアの力を活用する

職場でミレニアル世代やZ世代(ジェネレーションZ)の人々の割合が増えている昨今、 ソーシャルメディアのプラットフォームの力を活用しない手はありません。

実際、ハーバード・ビジネス・レビューによると、業務でソーシャルメディアを利用している社員は、組織への関与度がより高いと言われています。

そうした社員は、コラボレーションを行ったりアイデアを共有したりすることで、業務に関する問題を解決する場として、ソーシャルメディアを使っています。このことを活用して、社内研修プログラムを紹介したり利用を促したりすればいいのです。

まず、LinkedIn、Twitter、Facebook、Instagram、LINEなどのソーシャルメディアツールやプラットフォーム、それからオンラインアプリやサイトを活用します。こうしたものを通して、学習プログラムの運営者は学習者とすぐに交流できますし、学習者は他の学習者との交流を図ることもできます。

次に、学習の事務局専用のアカウントまたはページを作成し、全社員やターゲットに設定した学習者を招待します。

そのページは、あなたが運営しているLMS(Learning Management System:学習管理システム)やLXP(Learning Experience Platform:学習体験プラットフォーム)上で、学習者が最新のコースやモジュールに関する情報や最新情報が必要になった時に気軽にアクセスできる、ハブとなります。次のような投稿を定期的に行い、更新をしてください。

作成する動画の数を増やす

マイクロラーニングが学習戦略として効果的であると証明されていますが、学習者のエンゲージメントを高めることに活用してこそ意味があります。 短い情報を継続的に受け取る学習者は、全体的な学習理解度が高まると言われているためです。

学習効果を上げるためにより良い効果を得るために、動画は具体的で関連性の高いものでなければなりません。さらに、パーソナライズされていることも必要です。例えば、すべての研修コースやモジュールにつき、覚えるべきポイントをまとめた動画を作るのも一案です。

一方、継続的な学習を促進するという点で、動画は学習者に刺激を与え、より多くの学びと成長を促す一助にもなります。

オープンソースのWeb編集ツール、あるいはアニメーション制作ツールのサイトやアプリでも、動画を作成できます。まず、学習についての専門家による研究、こぼれ話、記事、談話などを調査します。そしてこうした題材をもとに、学習者を刺激し意欲を高めるビデオを作ります。

共通のコラボレーションプラットフォームにクリエイティブなポスターを掲示する

貴社の人材開発プログラムをアピールし、学習者のエンゲージメントを維持する確実な方法としてもうひとつ挙げられるのは、斬新なポスターを使うことです。

以前なら、オフィス周辺の交通量の多い場所(例:会議室、給湯室、冷水機周辺の壁)に研修プログラムをアピールするポスターを掲示するだけで十分だったように思えます。
ところが今日の「ニューノーマル」(新常態)では、さらに一歩踏み込んだ取り組みが必要になります。オフィス周辺はもちろんのこと、社員がいつもアクセスする仮想サイトでも見られるように、デジタルポスターを作成しなければなりません。

学習者の大半がLinkedInを利用しているのであれば、LinkedIn上の企業ページに定期的にデジタルポスターを掲示して、研修の重要性を強調し、関心を持続させることもできます。デジタルポスターの関連性を高め、質を向上させるために、使いやすい無料のデザインアプリケーションやWebサイトを利用するのもおすすめです。

GIFを使ったアニメーションポスターを作成し、デジタルポスターをより華やかな感じにするのもひとつの方法です。オープンソースのWebサイトなら、無料テンプレートを利用し、簡単に、より生き生きとしたポスターを作成することも可能です。

そのような取り組みを続ければ、人材開発部門は研修プログラムの作成やコンテンツのキュレーションだけでなく、研修プログラムのマーケティングやプロモーションにも力を入れてくれているのだという、従業員からの高い評価にもつながります。

ワクワクするような楽しい学習アクティビティを開催する

学習アクティビティを主催して従業員のエンゲージメントを維持することにマイナス要素はありません。

実際のところイベントは、研修プログラムや提供中の学習コースを新たに紹介したり、改めて紹介したりするための手段です。

プログラムの開始時にはキックオフイベントの開催ができます。この種のイベントは、必ず盛り上げることを心がけてください。第一印象は通常、後々まで響くものだということを心に留めておきましょう。

興味深いことに、研修プログラムの紹介の仕方によって、学習者の研修に対する意欲の高さや学習者全体の生産性が左右されることがあります。ですから、「忘れがたい」、「感動的」、「学習への意欲がかき立てられる」といった印象を、学習者が持てるようなイベントにしてください。

もうひとつのイベント例として、昼休みに行うランチを兼ねた勉強会も挙げられます。

例えば、組織内で語学習得プログラムを実施している場合、昼食会は社員にとって、各自が学んだことを社交的な場面で試してみる絶好の機会になります(ビデオ会議でも問題ありません)。

結果的に、この会合は社員にとっての練習の場にもなりますし、職場での社交スキルの学習を促す手段にもなります。

最後に、ゲストスピーカーを招いてTEDxのようなイベントを開催できれば最高です。

例えば社内にいるSME(Subject Matter Expert: 課題領域専門家)を最大限に頼り、実際に本人達の学習経験や、学習コースに関連した重要な情報などを語ってもらうのも良策です。

ほかには、社外からスピーカーを招き、学習コースでカバーしているトピックについて、社内学習者の意欲を引き出し、さらに学びを深められるような講演をお願いするのも一案です。こうしたイベントは、ウェビナーやビデオ会議などの仮想空間を介してオンラインで実施することができます。

特にイベントの参加者が複数拠点に分散している場合はそうしましょう。

まとめ

学習者のエンゲージメントを維持する方法はいろいろあります。特に、ほとんどの人がスマートフォンなどのモバイルデバイスを使用している現在、組織が社員のさらなるスキルアップを図る際に、ソーシャルメディアやeラーニングツールの力を利用するのは必要不可欠です。