研修と人材育成(人材開発)におけるアンドラゴジー(自己主導的な学習による成人学習理論)は、人材開発において全く新しいコンセプトではありませんが、いつでも再考することは素晴らしいことです。なぜなら、社員の学習経験を向上させることは、社員の総合的な経験を高めることにもつながるからです。eLearning Industryによると、強力な学習文化を持つ組織では、定着率が約30〜50%向上するそうです。

だからこそ、従業員に魅力的な研修環境を提供することが必要なのです。学習者はすべて大人であることを念頭に置いてください。ご存知のように、大人の学習は子供とは異なります。これが実はアンドラゴジーの最大のポイントなのです。

おさらいですが、アンドラゴジーとは成人の学習の背後にある原理や概念を指し、「大人の学習理論」とも呼ばれることがあります。これは、今日のデジタルラーニング時代において、最終的に従業員エクスペリエンスを向上させる、有意義な学習体験を作るための鍵となります。

ここで大きな疑問があります。なぜ人材開発においてアンドラゴジーが重要なのでしょうか?そして組織の研修と人材開発にどのように適用できるのでしょうか?ここでは、研修・人材開発におけるアンドラゴジーの利点と、それを実践するためのヒントをご紹介します。

 1.学習における柔軟性と自立性を促進する

アンドラゴジーの最も重要な考え方の1つは、成人学習者は通常、自分の学習の旅に主導権を求めているということです。すべての人、すべての会社に当てはまるわけではありませんが、この考え方は、研修に柔軟性を求めるプロフェッショナルには当てはまります。

例えば、常に外出している従業員と現場にいる従業員では、異なる方法での研修が必要です。いつでも、どこでも、忙しいスケジュールの中でも、自分のペースで学習できるようにしなければならなりません。人材開発にアンドラゴジーを適用することで、学習者は自分のニーズや目標に応じて、自分の学習の方向性をより明確にすることができます。

研修と開発におけるアンドラゴジーを念頭に置くことで、従業員の学習の自立を促すことができます。従業員は、研修を必要なものとしてだけでなく、アップスキルのための正当な機会として捉えることができます。

人材開発でのアンドラゴジ―活用法:自己主導型の学習方法を提供する一方で、指導型の学習も忘れない。

学習者が自ら学ぶ機会を持ち、必要な時に必要なことを決め、どのように学びたいかを選択できるようにしましょう。自己主導型学習のオプションを用意することで、従業員は自分の学習経験に対する独立性と主導権を十分に発揮することができます。

とはいえ、大人の学習には大きな問題があることも承知しておかなければなりません。大人は、それまでの学校生活(小学校や高校)で、教師に依存して指導されることを条件としていたため、すぐに積極的に自分の学習に参加することができません。これは2つのことを意味しています。

  ● 大人は、最初はどうすれば能動的な自己主導型の学習者になれるのかわからないものである。
  ● 成人学習者の場合、学習者のエンゲージメントが低いことがある。

この問題に対処するには、まず研修の実用的な利点を学習者に伝えることから始めます。また、どのように学習したいかを受講者に提案してもらいます。ここで重要なのは、学習者の提案を取り入れ、一歩一歩コミュニケーションを取っていくことです。そして、記事、ビデオ、ガイド付きレッスンなど、さまざまな学習方法のレッスンを提供します。また、LMS/LXP内のオンデマンド学習コンテンツにアクセスさせ、必要なときにいつでも利用できるようにすることもできます。自分のペースで学習できるコンテンツは、最初は講師主導の研修(ILT)の補助的な学習リソースとして機能します。

例えば、ビジネスのためにスペイン語を勉強している学習者には、学習方法の選択肢を与えてあげましょう。プロの語学講師とのマンツーマンレッスンだけでなく、学習者が自分の時間に合わせて利用できる学習コンテンツを提供することもできます。
大人の学習者を指導し、学習を自らの手で行うことを促すのは簡単なことではありません。しかし、学習者に多くの選択肢を与えることは、この問題に対処するための素晴らしい方法です。重要なのは、すべてのレッスンで「なぜこれを学ぶ必要があるのか」という質問に答えることです。(これはこの記事の次のポイントにもつながります)。

結局のところ、従業員に自ら学ぶ機会を与えることは、適切に行われれば、研修の妥当性が高くなり、ひいてはエンゲージメントやエクスペリエンスの向上につながるのです。

2.すぐに業務に適用できるレッスンを提供する

成人を対象とする学習理論では、教え方や学び方に学習者の経験を考慮することになっています。人材開発担当者は、学習者がその経歴、ライフスタイル、年齢などに応じて様々な経験を持っていることを念頭に置かなければなりません。これらは、学習に対する彼らの認識や行動、態度に影響を与えます。

アンドラゴジーは、学習は内発的なものであることも教えてくれます。つまり、従業員は、キャリアアップのために自分のスキルを伸ばしたいと思っていたり、自分がやりたいプロジェクトのために資格を取りたいと思っていたりします。人材開発にアンドラゴジーを取り入れることで、従業員は特定の研修プログラムをそれぞれの職務の目標と容易に結びつけることができます。

従業員が、研修が仕事上の日々の課題に直接対応していることに気づけば、研修や組織へのエンゲージメントは間違いなく高まります。さらに、成人学習者がすでに十分な背景と経験を持っていると知っていることは、研修コースの設計や、コンテンツ、配信にも役立ちます。優れた設計の研修は、従業員の学習意欲を高めます。

人材開発でのアンドラゴジ―活用法:実体験に基づいた研修を提供する。

人材開発プログラムには、個々人が置かれている状況に関連したレッスンを盛り込みましょう。例えば、学習者が英語のスキルを身に付けようとしている場合、文法や語彙のレッスンには、ビジネスや社会的な文脈に基づいた例が含まれているとよいでしょう。

そのためには、LMSLXPなどの学習システムで、ビジネスや業界に特化したレッスンやコンテンツを提供する必要があります。これにより、学習者は研修の実用性を容易に確認することができます。そうすることで、受講者のモチベーションが高まり、研修だからというだけでなく、自ら知識やスキルを身につけようとする意欲が生まれます。研修の内容が自分に関連のあるものだということがわかれば、学習者は自分のニーズに基づいて学習し、専門的に成長することを目標にするようになります。

例えば、多様なチームを担当するセールスマネージャーは、会議や交渉、プロジェクト管理など、仕事上の日常業務に直結した英語のレッスンが必要です。

このような状況では、学習者は自分の語学研修が自分の仕事に直接適用できることを確認する必要があります。レッスンでは、自分の仕事の役割、職場環境、業界の状況や性質を取り上げる必要があります。そうすれば、研修で学んだことと、同僚や顧客と仕事をしているときに直面する現実とを簡単に結びつけることができます。

3.迅速かつ課題に焦点を当てた学習に重点を置く

従業員に共通しているのは、みんな忙しい大人だということです。仕事に追われていて、研修に時間を割くことができないのかもしれません。そのため、仕事で知識を得たいと考えるか、研修に費やす時間を減らしたいと考えるかのどちらかです。
多くの場合、問題や課題があるときに研修が必要になります。例えば、営業担当者がスペイン人のお客様との商談にどのように対応するか、ビジネスでよく使われるスペイン語のフレーズを学ぶ必要があるとします。
研修や開発におけるアンドラゴジーを念頭に置くことで、学習者に提供するコースやコンテンツは、学習者が解決しようとしている問題に基づいて、より適切なものになります。レッスンは短時間で一口サイズで提供され、研修コンテンツは短くても本人にとって有効なものになります。

人材開発でのアンドラゴジー活用法:マイクロラーニングのアクティビティやレッスンをすぐに利用できるようにする。

マイクロラーニングは、有用な情報を短時間で提供するのに適しているだけではありません。それだけでなく、人間の注意力の低下にも対応できるのです。レッスンは通常、ビデオ形式で、6分を超えないようにします。内容はわかりやすく、受講しやすく、本題から逸れないようにしなければなりません。

マイクロラーニングの内容が、職場でのジェンダーに配慮した言葉の使い方に関するものであれば、学習コンテンツはそのことだけを具体的に説明すべきです。例えば多文化コミュニケーションのベストプラクティスなど、本題から逸れるものを含めないほうがよいでしょう。

それに加えて、大人の学習者は問題を解決したい(解決する必要がある)と考えています。これは特に職場において当てはまります。ですから、マイクロラーニングのコンテンツは、従業員が仕事上の課題を解決するためのソリューションを直接提示する必要があります。

例えば、goFLUENTのランゲージ・アカデミーには、さまざまな業界のさまざまなトピックに焦点を当てたマイクロラーニングコンテンツが含まれており、「銀行・金融業のための英語」、「英語を母国語とする人のための英語」、「バーチャル会議をよりリアルに感じさせる方法」など、ビジネスに焦点を当てたコンテンツが用意されています。このようにして、新しい言語を学ぶビジネスパーソンは、自分の都合の良い時に、必要とされる様々なテーマで、素早く言語のヒントを得る機会を得ることができます。

あなたの人材開発研修でも同じことができます。ただ学習者の興味を引くだけでなく、彼らが現在仕事で経験していることに直接適用できるような学習リソースを、短時間で提供するようにしてください。

結論

要するに、研修と開発におけるアンドラゴジーは、特に研修プログラムを管理・設計する人材開発リーダーや人事担当者にとって、再考する必要があるということです。アンドラゴジーは、全体の設計や実行、学習者のエンゲージメントなど、従業員研修のさまざまな側面に影響を与えます。結果として、学習者に優れた研修体験を提供することは、最終的にはより良い従業員エクスペリエンスにもつながるのです。

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